2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

抗がん剤は毒か

髪が抜けるのは、抗がん剤が、細胞分裂の速い髪にも影響を与え得るからだ。がんは、細胞が異常に速い分裂を起こす病気だが、この分裂を抑制する薬が、細胞分裂の比較的速い髪や、骨髄や、腸壁にも作用することがある。髪が抜けたり、骨髄の働きがにぶって抵…

日常生活に支障をきたす読書

じつは、私の趣味は読書でも、小説はほとんど読まない人間である。 とくに純文学は文章に力がありすぎて、読むとしばらく何も考えられないほどの衝撃を受けてしまうからだ。 村上春樹の『ノルウェイの森』(講談社)を読んだときは1時間ほど立ち上がれなかっ…

あまりにも知りすぎている人にとって、嘘をつかないということはむずかしい。 『反哲学的断章』(ヴィトゲンシュタイン 青土社)p.170

「仔犬契約法」

ちなみに、この作戦は、「仔犬契約法」(Puppy Dog Close)と呼ばれる心理テクニックの一種であると思われる。 仔犬契約法とは、「とりあえず、この仔犬をおかせてもらいます。お邪魔なようでしたら、1週間後に引き取りにきます」といって仔犬をおいていく…

居眠りしているような気分になる国

日本は社会の動きが緩慢な国で、国際的なニュース価値のあるような「重要な動き」が極めて少ない。政権交代のないのが致命的で、そのため社会がダイナミズムに乏しい。「東京で暮らしていると、なんだかいつも居眠りしているような気分だね」と、ある南米の…

等号

たとえば、あのおなじみの”等号”でさえ、1557年まで使われなかった。 『数学はインドのロープ魔術を解く』(デイヴィッド・アチェソン ハヤカワ文庫)p.44

ストーン・キャット

欧州のある古い教会での話です。教会の神父が、野良猫を飼っていました。彼が祭壇の前でお祈りをするときも猫が彼に悪戯したりするため、お祈り中には猫を紐で祭壇の脚につなげるようにしました。 やがてこの神父が亡くなり、二代目の神父がその猫を世話して…

手塚治虫と星新一

手塚は「鉄腕アトム」がテレビドラマ化されて大ヒットし、漫画家長者番付ですでにトップという人気作家だったが、この前年に、「宇宙塵」の月例会が編集委員以外にも公開されると、突然参加して同人となった。手塚もまた、新一の話に魅せられたひとりで、新…

ミック・ジャガー

ミック・ジャガーは若いときに「四十五歳になって『サティスファクション』をまだ歌っているくらいなら、死んだ方がましだ」と豪語した。しかし実際には彼は六十歳を過ぎた今でも『サティスファクション』を歌い続けている。そのことを笑う人もいる。しかし…

自分で納得していないことを信じるというのは奇妙なほどむずかしい

わたしたちが自分で納得していないことを、信じるというのは、奇妙なほどむずかしい。たとえば、シェイクスピアについては何世紀にもわたって、すぐれた人たちが賞讃してきたが、わたしは、そういう賞讃の言葉をきくたびに、「シェイクスピアをほめるのは慣…

ルパンの車

某所で外車の展示中。フィアット500が展示されてた。

明け方

しかし、明け方というのはまた別の不安がある。何かいけないものを見ているような罪悪感が、息をひそめてじっとしていなくてはならないような緊張感が、ああまた一日が始まってしまったという不思議な後悔がある。 『球形の季節』(恩田陸 新潮文庫)p.10

映画とは

映画はまずもって実に横暴な装置だ。見る物に偽の体験を強制し、感情をもてあそび、見つづけるか席を立つかの二者択一を迫り、感動・嫌悪・迷い・退屈のいずれかの反応を引き出さずには終わらない。こちらの精神のゆがみを増幅し、隠された欲望をあばき、破…

この世界の主役

自分の場所で、自分の仕事を淡々と果たし続ける人こそ、この世界の主役なのです。ぼくたちがこうして伝えたいメッセージもないのに原稿を書いているのも、そういう人たちにひと言いいたいからです。 今日もありがとう。あなたの顔は知らないけれど、あなたは…

自分と他人

第2章で述べたように、一定時間経過後の自分は、ある意味で「他人」である。 『続「超」整理法・時間編』(野口悠紀雄 中公新書)p.101

「迷い箱」

この箱で思い出すのは、「迷い箱」である。この「迷い箱」については、過去にも書いたことがあるので、御存知の方も多いと思うが、聖徳学園短大の東政雄氏のコラムで知ったものである。 よく、官僚が書類を決裁箱と未決済箱に分けて整理している感じで、資料…

「作曲は終わりました。あとは書くだけです」

「作曲は終わりました。あとは書くだけです」。これは、モーツァルトの有名な言葉である。 「あとで書く段になれば、収集してきたものを脳髄という袋の中から取り出してくるだけだ。周囲で何が起ころうとも構わずに書けるし、鶏の話、家鴨の話、人の噂などに…

芸術家のピーク

ありがたいことに芸術家のピークは、人それぞれまったく違っている。たとえばドストエフスキーは六十年の人生の最後の数年間に『悪霊』と『カラマーゾフの兄弟』という、もっとも重要な意味を持つふたつの長編小説を書いた。ドメニコ・スカルラティは生涯に…

どんな理由で2次方程式を解くのか?

読者諸兄に納得のいく説明はできないかもしれないが、このあたりで本質的な疑問を取りあげておく必要があろう。つまり、”いったい全体、どんな理由で2次方程式を解くのか?”という疑問のことだ。 こういう疑問自体、問われてしごく当然のものだが、その答え…

マクドナルド法

たとえば、マクドナルドでは、お客が注文したときに、「以上ですか?」とは質問しない。なぜなら、そういう質問をすると、お客の注文が完全に終わってしまうからである。そこでマクドナルドでは、「ポテトはおつけしますか?」と聞くのである。 そういう誘導…

人格タイプ

尋問者の第一の仕事の一つは、相手の人格タイプ−−内向的か外向的か−−を見きわめることだ。内向的、外向的と言っても、通常使われている意味とは微妙に違う。内気か陽気かという話ではない。この場合の区別は、物事の判断のしかたにある。内向タイプは、論理…

非生産的な人

アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズは、人類を「肯定的な人」と「否定的な人」に二分できるといいます。UCLA(カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)教授ケネス・アチティーは、「生産的な人」と「非生産的な人」に分けられるといい、前者は「行…

少し前にライムが指摘したように、月や占星術的なモチーフを引き合いに出す殺人者は、連続殺人事件を起こす場合が多い。人は月の影響を受けて犯罪に走るとする文献もあるが、ライムはそれは単なる暗示にすぎないと考えている−−スティーヴン・スピルバーグ監…

「修行」

ぼくは丹波哲朗さんのことはよく知らない。彼が説く擬似宗教にも関心はない。けれど、彼のいったある言葉には深くうなづくところがあった。正確ではないけれど、こんなふうに丹波さんはどこかで述べている。 「結婚というものは、修行のためにある。そこで最…

ダ・ヴィンチの手帳

あの本のことをおもいだして、書庫をさがしてみたが、いつのまにかなくしてしまったらしく、みあたらなかった。メレジュコーフスキイの『神々の復活』という本である。 わたしがこの本をよんだのは、高等学校の学生のときで、もう二〇年以上もまえのことであ…

「定着型」と「移動型」

アメリカの性格分析学によると、人間は「定着型」と「移動型」とに分かれるという(『ニューヨーク・タイムズ』八四年四月三日付)。 定着型の人は、世界を、意味のある人々や物から成る「オブジェクト」と見、それらが恐ろしい、空っぽな空間によって引き離…