「作曲は終わりました。あとは書くだけです」

「作曲は終わりました。あとは書くだけです」。これは、モーツァルトの有名な言葉である。
「あとで書く段になれば、収集してきたものを脳髄という袋の中から取り出してくるだけだ。周囲で何が起ころうとも構わずに書けるし、鶏の話、家鴨の話、人の噂などに興じながら書くことも出来る」と、彼は手紙の中で述べている。モーツァルトのワーキングメモリは、人間の限界を超える異常なものであったようだ。

『続「超」整理法・時間編』(野口悠紀雄 中公新書)p.229