「迷い箱」

 この箱で思い出すのは、「迷い箱」である。この「迷い箱」については、過去にも書いたことがあるので、御存知の方も多いと思うが、聖徳学園短大の東政雄氏のコラムで知ったものである。
 よく、官僚が書類を決裁箱と未決済箱に分けて整理している感じで、資料がきたらそれをすぐにはファイルに納めないで、しばらくはこの「迷い箱」に入れて放置しておく。すると、何日かたつと、「ああ、これはいらないな」という決断が生まれる。そこで不要なものを捨て、必要なものだけを残しておくようになる。こうして、自然に資料の取捨選択をしてしまうというわけだ。

『「人生」という時間の過ごし方』(板坂元 芸文社)p.190