居眠りしているような気分になる国

 日本は社会の動きが緩慢な国で、国際的なニュース価値のあるような「重要な動き」が極めて少ない。政権交代のないのが致命的で、そのため社会がダイナミズムに乏しい。「東京で暮らしていると、なんだかいつも居眠りしているような気分だね」と、ある南米の国の外交官がいつかいっていたが、私も外国旅行から戻るたびに同じ感想を抱いた。

『ニューヨークでがんと生きる』(千葉敦子 文春文庫)p.13