少し前にライムが指摘したように、月や占星術的なモチーフを引き合いに出す殺人者は、連続殺人事件を起こす場合が多い。人は月の影響を受けて犯罪に走るとする文献もあるが、ライムはそれは単なる暗示にすぎないと考えている−−スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』の公開直後に、異星人に誘拐されたと主張する者が急増したのと同じことだ。

『ウォッチメイカー』(ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋)p.64