マクドナルド法

 たとえば、マクドナルドでは、お客が注文したときに、「以上ですか?」とは質問しない。なぜなら、そういう質問をすると、お客の注文が完全に終わってしまうからである。そこでマクドナルドでは、「ポテトはおつけしますか?」と聞くのである。
 そういう誘導質問をされると、今まさに注文を終えようとしていたお客は、「はい、お願いします」とさらに追加注文してしまう。
 レストランなどでも、お客が注文を終えようとしたところで、「デザートはいかがでしょうか?」と誘導質問する。この種の誘導質問は、米国の説得研究者ケビン・ホーガンによって、”マクドナルド法”(McDonald's Strategy)と名づけられているのだが、道徳的・倫理的にずるいというよりは、むしろ賢いやり方であるといえる。交渉においても、同じだ。望ましい答えを引き出したいなら、そのようにうまく誘導してあげればいいのだ。

『「人たらし」のブラック交渉術』(内藤諠人 大和書房)p.77