『その裁きは死』アンソニー・ホロヴィッツ

その裁きは死』を読む。

 ホーソーン・シリーズの第2弾。今作も面白かった。

 事件自体は、殺人現場に謎の数字がペンキで描き残されていたことを除けば比較的地味でありふれた殺人事件だ。しかしなぜか物語に引き込まれていくのは、一つには作者ホロヴィッツが脚本を書いたドラマの撮影現場の話など、現実の出来事が同時に描かれているのが大きい。1作目の『メインテーマは殺人』でもホロヴィッツの現実の仕事の話が出てきたが、今作の方がそれらの出来事と事件との関わりが深くなって、どこまでが創作でどこまでが現実なのか虚々実々の物語が展開する。

 そして今回もう一つ面白いのはホームズ譚との関わり。物語は2013年で、ホロヴィッツは『絹の家』が出版され『モリアーティ』の構想を練っている最中で、ホーソーンからは『緋色の研究』の読書会に出席を乞われる。そしてこのことが物語にも関わってくる。

 解説を読むと、インタビューでホロヴィッツホーソーンのシリーズを10作書く予定だという。続編がとても楽しみである。