2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

生命より大切なもの

生も亦我が欲する所なり、義も亦我が欲する所なり。二つの者兼ぬること得べからざれば、生を舎てて義を取らん。 『孟子』下(岩波文庫) p.249

すばらしい冗談

新一は、ブラウン神父シリーズで知られるイギリスの推理作家チェスタートンの「すばらしい冗談は、批評の不可能な、一つの究極の神聖なものである」という言葉が大のお気に入りだった。 『星新一 一〇〇一話をつくった人』(最相葉月 新潮社)p.288

使用人

「素敵ね、あの五十鈴さんという子。さしずめ、あなたのマーヴィン・バンターといったところかしら」 笑顔を返したけれど、わたしはそれは違うと思っていた。セイヤーズは読んでいたけれど、五十鈴はバンターよりも、もっと……。 「玉野五十鈴の誉れ」(『儚…

何かがやってくる予感がする。それは恋ではない。恋ならもうしている。そう、恋はしていた。あの頃、恋をするという絶望的な欲求があったからだ。恋をしたいと感じたら、行く場所に注意しないといけない。その秘薬を飲んだが最後、最初に出会った生き物に恋…

必然性

「チェーホフがこう言っている」とタマルもゆっくり立ち上りながら言った。「物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない、と」「どういう意味?」 タマルは青豆の正面に向き合うように立って言った。彼の方がほんの数センチだけ背が高かっ…

チェーホフにとって

チェーホフにとって、すべての人々は同じようなものである。彼はその人々を示すだけで、何がよくて何が悪いかは読者の判断にゆだねた。チェーホフ自身は不偏不党の立場をとっているかのようだ。 『ショスタコーヴィチの証言』(ソロモン・ヴォルコフ編 水野…

救い

「一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。たとえその人と一緒になることができなくても」 『1Q84』BOOK1(村上春樹 新潮社)p.342

歴史

歴史が人に示してくれる最も重要な命題は「当時、先のことは誰にもわかりませんでした」ということかもしれない。 『1Q84』BOOK1(村上春樹 新潮社)p.12