ペンで考える

 じっさいわたしは、ペンで考える。なにしろ、手がなにを書いているのか、頭が知らないことが、しばしばなのだ。

『反哲学的断章』(ヴィトゲンシュタイン 青土社)p.50

 文章を書きながら頭の中にもやもやした形であるものをまとめるとか、書いているうちに思いもよらないことが浮かんでくることは確かにある。しかし、手が何を書いているのか知らないとは、天才はやっぱり違う。実際、頭の中では全然別のことを考えながら、文章を書いていたりするのだろうか。