起きている時間の闇

「瞬きの時間を合計すると、けっこう長いですよ。人は一分に、平均で二十回の瞬きをしているそうですから、一時間で千二百回。霧岡刑事が一日に六時間寝ているとしたら、起きているのは十八時間。千二百×十八で、……二万千六百。二万千六百回の瞬きです」
「ふーん。回数は多いが、長い時間かな?」
「瞬きは、一回がおよそ〇・二五秒なのだそうで、合計で……五千四百秒。一時間半になりますね。霧岡刑事も、起きて活動している間の一時間半は、外の光を断っていることになります。その闇の間、何を見ているのでしょうね」

『密室キングダム』(柄刀一 光文社 p.331)