人生

それでも、自尊心を満足させることもできず、みじめさの中に生きているだけでも生きているといえるのかどうか。自分のしたことにはなんらかの目的があったとさえ思えない人生が、人生といえるのかどうか。

チャイルド44 下』(トム・ロブ・スミス 新潮文庫)p.95

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

動物と人間

 病院のER(緊急救命室)の同僚が言うには、動物の意識には過去も未来もなく、あるのはただ現在だけだという。そして人間も熱い風呂に漬かりながらマティーニを五杯飲めば、それに近い状態になれるんだそうだ。つまりは土曜の夜の状態ってことだ。それ以外の時は−−まあ、それについては新聞を読んでもらえば、わざわざ説明するまでもない。人間のやることは、九八パーセントまでが醜く忌まわしい。

「蚊」(『拳闘士の休息』トム・ジョーンズ 新潮社)p.127

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

世界は有限

世界は有限で思っているほど広くはない。誰でも六つのコネクション・リンクをたどれば、米国大統領にさえたどりつけるという話を聞いたことがある

イノセント・ゲリラの祝祭』(海堂尊 宝島社)p.234

バカとアホ

無能には二通りある。害悪になる無能と、役に立つ無能さ。前者がバカで後者がアホ。

イノセント・ゲリラの祝祭』(海堂尊 宝島社)p.224

難問の解明

 これが何を意味しているのか、あるいは何を意味する可能性があるのか、さっぱりわからない。しかし、これに何らかの意味があることは確かだ。そういう状況に陥ったときには、昔の成功、それも同様の難問を解明したときのことを振り返って、頭を再活性化すると効果がある。むやみにあれこれ考えていないときに、ふと答えが浮かび上がってくることもあるからね

『患者の眼』(デイヴィッド・ピリー 文春文庫)p.311

愛情

愛してもいない相手にもらった愛情は心の表面に留まり、そこからすぐに蒸発してしまうものなのだ。

素数たちの孤独』(パオロ・ジョルダーノ 早川書房)p.310