仕事をしたい人とすればいい
そんなある日のこと。前任者から引き継いだ執筆者に理不尽な怒られ方をして肩を落としていると、中原さんがいった。
「あなたが編集者なのだから、あなたが仕事をしたい人とすればいいのよ」
え、そうなのか、とびっくりした。雑誌はあくまでも編集者のもの。不愉快な相手と無理に仕事をすることはない。誇りを持って臨みなさい、ということだ。実際には無理を承知でやらなければならないときは多々あるが、あの日の私には必要な一言だった。書く側に立ったいまとなっては恐ろしい。書き手はほかにいくらでもいるということだから。
- 作者:最相 葉月
- 発売日: 2014/04/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)